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世界最大のカンヌ広告祭から見える「新しい社会課題」
世界最大のカンヌ広告祭から見える「新しい社会課題」

世界最大のカンヌ広告祭から見える「新しい社会課題」

2024/07/30・by伊藤 恵(サステナビリティ・プランナー)伊藤 恵(サステナビリティ・プランナー)

記事のポイント


  1. カンヌライオンズでは、社会課題への解決アプローチを見ることができる
  2. 受賞作品を見ることで、新たな社会課題への気づきにもつながる
  3. 紹介するのは、MRIの不安をやわらげたり、車を通じて就業を支援するものだ


世界最大規模の広告・コミュニケーションの祭典「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル(通称:カンヌライオンズ)」は、世界にクリエイティブなアイデアとともに、様々な社会課題への解決アプローチを知れる場でもある。受賞作品の優れたアイデアは、SDGsコミュニケーションや社会課題解決のヒントになるものも多いだろう。また今まであまり注目されていなかった社会課題に着目したものもあり、受賞作をみていくことは新たな課題への気づきにもつながる。今回は6月に開催されたカンヌライオンズの受賞作品の中から、新たな社会課題に着目した作品を中心に考察していく。(サステナビリティ・プランナー=伊藤 恵)


■子どものMRIの恐怖をやわらげる「Magnetic Stories」


子どもにとって不安の多いMRI検査を、オリジナルオーディオブックで「耳で聞くエンタメ」に昇華
子どもにとって不安の多いMRI検査を、オリジナルオーディオブックで「耳で聞くエンタメ」に昇華

MRI検査を受けるとき、閉鎖的な空間でじっとしている状況は、子ども達にとっては苦痛だ。そして、何より機械から発せられる大きな電磁音は、子ども達の不安をさらに高める要因になっている。


このようなMRI検査における不安で孤独な時間を、少しでも楽しい時間にしようと、医療機器メーカーのSiemens Healthineersが開発したのが「Magnetic Stories」だ。


著名な作家やサウンドデザイナーと協力し、MRIから発せられる電磁音を活用したオリジナルのオーディオブックを制作した。恐怖だった電磁音が、その特徴にあわせてロボットの音や、列車の音として聞こえるようなストーリーになっている。


不安で孤独な時間を耳で聴くエンタメに昇華させるという斬新なアプローチが評価され、Pharma Lionsグランプリを獲得した。