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棉匠白シャツ STAND
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棉匠白シャツ STAND

棉匠白シャツ STAND

2022/05/30・byWATAKUMIWATAKUMI

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日本を支えてきた「知多木綿」


3代目となる私は、知多木綿に囲まれて育ちました。家の蔵にはいつも木綿が山のように積み重なり、子どもの頃は、よくその生地の上に登って遊んだのを懐かしく憶えています。木綿の生機(織りあがった状態で晒す前の状態)には独特な香りがあり、そんな生地の匂いが今でもとても好きです。


私にとっては、生まれたときからずっと身近な存在だった知多木綿。とても長い歴史ある織物ですが、中には知らない方も多いと思います。


知多木綿の歴史が知られるのは、約400年も昔、江戸時代初期頃。未晒の生白(きじろ)木綿として生産されたものが、伊勢を介し、「伊勢晒」や「松坂晒」として江戸へ送られたと伝えられています。

それから1世紀ほど経過した江戸中期に、岡田村の中島七右衛門ら職人が晒加工技術を知多地域に伝えたことで、「知多晒」として発展。その白さと品質の高さで人気と信頼が高まり、高級綿織物として江戸を中心に広がっていきました。明治時代には、自動織機も発明され、国を支える産業の一つになっています。


そんな知多木綿は、三大織物生産地の一つとしても数えられ、一時は、知多地域に700もの事業所が立ち上がるほど栄えていました。

しかし、それもいまでは20弱にまで工場が減少しています。

その要因は、生活様式の変化や後継者不足、生産拠点の海外移転、多様化する素材市場など、さまざまです。伝統文化が衰退し、継続の危機にあるのは、どの伝統産業にもあてはまる状況だと思います。


いまや絶滅危惧種ともいえる「知多木綿」。私にとっては、生まれたときからずっとともにある、家族のような存在です。心から木綿を愛しているからこそ、多くの方に知多木綿を知っていただきたい。そしてその魅力を伝えることこそ、私たちの天命なのです。


紡がれてきた伝統美と、洗練された現代美とを融合させるという、私たちにとっての新たな挑戦がこうして始まりました。








伝統と、匠の技巧が織り重なる

知多木綿は、主に「小幅生地」と呼ばれる、50cmくらいまでの幅の反物として織られ、主に浴衣や手ぬぐいなどに使われています。

しかしいまでは、浴衣を着る人も少なくなってしまったと思います。

もし、日常的に、伝統も着心地もまとめて手軽に身に纏えるものがあったなら、どんなに素晴らしいことでしょう。


私たちはそれを、シャツという新たな形で表現できないかと考えました。


小幅生地は、そのサイズからもシャツへの変換にぴったり。無駄なく生地を利用できます。

また、柔らかく、真っ白な知多木綿の特徴を生かすのにも、シャツはうってつけでした。


私たちは、知多木綿の魅力を最大限に引き出すため、生地をシャツ用に改良するところから始めました。

糸は、縁ある出雲の紡績工場で紡がれたものの中から、今治タオルにも使用されている一級品を厳選。続いて、日本一の浴衣生地織物工場で「糸番手」、「撚り回数」、「打ち込み本数」といった、紡績した糸の太さや丈夫さ、生地の密度、肌触りや風合いに大きくかかわる工程で、何度も検証を重ねました。ここで重要になるのが、シャトル織機。明治時代、豊田佐吉により動力を利用した自動織機が発明されました。現在、私たちが使っているのは、昭和の中期〜後期にかけて製造されたものです。この機械を利用することで、手織りに最も近い生地が生まれますが、人の手による微妙な調整が必要になります。職人が積み重ねてきた技が光ります。

ここからさらに、晒工場へ生地が渡り、昔ながらの窯炊き製法「和晒」により、生成りから美しく白い生地へと変わっていきます。2、3日かけて、ゆっくりと焚き込まれていくため、生地にストレスがかかりません。仕上がりは柔らかく、吸水性のよいふんわりとした生地が生まれます。


職人たちとともに試行錯誤を重ね、出来上がったのは、最高品質の木綿生地。

一本の糸が、卓越した技術を持つ職人たちにより紡がれ、織り上げられていくことで、私たちが理想とする素晴らしい生地が完成しました。










棉 × 匠 - WATAKUMI

棉本来のやさしさで、つつまれるかのような心地が味わえる、この素晴らしい生地は、最後に縫製工場へ渡り、いよいよシャツが仕上がります。

生地は、シャツ用に幅38cmで仕上がっているため、つなぎ方にも工夫を凝らしました。これにより、よりスタイルが崩れにくくなるというメリットが生まれました。


構想から約3年。

新しいブランド、「WATAKUMI」がここに誕生です。


WATAKUMIとは、「棉」と「匠」を合わせた言葉。棉の魅力を最大限引き出すために、多くの匠の技術が込められていることを表しています。


そんなWATAKUMIが贈る、4つのシャツをご紹介します。


■ STAND(スタンド)

首元がスッキリと洗練された印象のスタンドタイプ。ややゆったり目のスタイルで、アクティブに動けるカジュアルシャツです。

ボタンには落ち着いたスクエアの黒蝶貝を使用しています。


■ CAPRI(カプリ)

お洒落なプルオーバーシャツで、カジュアルに着られるタイプ。アクティブな1日にぴったりです。

木のぬくもりが感じられるウッドボタンを使用し、黄色で色づけされた部分も主張しすぎず、洋服を引き立たせています。


■ HIYOKU(ヒヨク)

二重の前立てによってボタンが隠れる、カジュアルだけどドレッシーなタイプ。身丈は標準よりやや短く、裾を出して着られます。

さりげなく見え隠れする貝ボタンは、よく見ると楕円のカタチをしています。


■ BUTTON-DOWN(ボタン ダウン)

肩幅・身幅ともに少し細身で、どんなシーンにも合わせられる、大人のカジュアルドレスタイプ。

表面のツヤや光沢が1つ1つ違う脚付きの珍しいタイプの真っ白な貝ボタンがついています。


STANDを除く3つのシャツには、それぞれ、台形のポケットがやや高めの位置についており、エレガントさが光ります。


また、それぞれのシャツのコンセプトに合わせて異なるボタンは、「kususu」さんという世界中のボタンを取り扱う専門店からの監修のもと、厳選しています。


浴衣からシャツへと形は変わりましたが、そこに紡がれたこだわりや技術は、400年以上前から続いてきたものと変わりありません。さらに現代的な要素が加わって、多くの方の日常に寄り添える品に仕上がっています。









心地よさと伝統を纏う

「木綿って、めちゃくちゃ気持ちいいな」

これは、私が初めて、仕上がったばかりのWATAKUMIに袖を通したときの感想です。

肌を滑る衣は本当に柔らかく、シャツの白さは心にしみるようでした。

ふんわりと咲く棉の花と、匠の技巧をつないだ先に生まれたこの商品は「日本の白シャツ」だと個人的には思っています。


戦後、洋装が国内に広がるとともに、減少していった和装ですが、新しくシャツという形で、木綿という天然繊維のやさしさを、日常生活の中でも感じてもらえたらと思います。そこには、大量生産・大量消費では味わえない、日本の丁寧な心意気が籠っています。


シャツに袖を通すことで、日本の文化を着ていると感じてもらえたなら嬉しく思います。


私たちはこれからも、社会様式や生活様式の変化に対応しながら、その時代に沿った産業として変化をし続けていきたいと思っています。変化をし続けることで、昔から伝わってきた思いや技術や知恵がさらに人々の生活を豊かにできるのではないかと思っております。