【すべりにくい】オリーブの花咲くお箸 各サイズ
架け箸について
日本×中東パレスチナのカワイイを届けるクリエーションブランド。
”素敵に国境はない”というビジョンのもと、暮らしの中で愛着が湧く商品をお届けしていきます。
オリーブの木の日用品と、アップサイクルを取り入れたファッションアイテムを、生産地パレスチナから直接、心を込めて皆様にご紹介しています。
私達がお届けしたいのは、暮らしに寄り添ってくれる手仕事のパワーです。
私達を取り囲む大量生産された工業製品は、確かに買いやすい値段で、規格も揃っています。でも、何か五感で惹かれるものがあって、悩んで買ったものや、おばあちゃん、おじいちゃんから受け継いでもう何十年も経つもの、作った人の顔が分かるもの、ひとつひとつ形の違うもの。そうしたものは、色褪せずに私達の暮らしを支えてくれます。
架け箸の生産地パレスチナはオリーブの原産地。地中海にも面しています。
武骨で荒々しいオリーブの木目は唯一無二の存在感。
整った柾目とは一味違うオリーブの魅力をお届けします。
「壁ではなく橋=箸を作りたい」という想いを形に
学生時代、パレスチナにホームステイしていた時、町を移動すればほぼ必ず壁を目にしました。
8mの高さの「分離壁」は、安全保障という名目のもとでパレスチナの農地や村を分断するように建設されています。目の前にすると、生きることの尊さや人間の暴力的な側面について、人を人種で分ける意味について、何度も考えさせられました。壁は、その向こうで暮らす人達の人柄や文化を見えなくして、テロリスト、危険な人達、というレッテルを生み続け、この地域の占領問題を解決しにくくしています。
私は、壁ではなく橋=箸を作りたい、壁の向こうのパレスチナの人達と何かを生み出したいと思いました。日本では箸は毎日食卓に在り、暮らしの中心にある道具です。そんな場所に現地特産でたくましく育つパレスチナ産のオリーブを使ったお箸を置いてみたら?と思いついたのがきっかけでした。
それから、生産者を探し始めました。本当はすぐに現地入りして工程などああだこうだ言おうと思っていたのですが、ちょうどコロナ禍が始まり、数カ月で収まるかもと期待するうち2年が経ち、現地には入れていませんが(2022年執筆時。同年秋に現地渡航)、オンラインでのやり取りと、最近ではパレスチナに移住した友人の助けを得て、製品の形を作ってきました。
オリーブの花咲くお箸の魅力は、まず、宇宙に一つしかない一点物の木目と、手に馴染むぽったりとした木肌です。荒々しい表情もあれば、すっきりした部位もあって、飽きることなく眺められます。また、食という生活の中心からフェアトレードやエシカルが遠心上に広がっていくのも素敵なポイントです。
現地に飛べたら早かったのですが、コロナ禍の国境封鎖はものづくりの大きな打撃でした。なかなか進まない状況、苦しくなっていく現地の財政(観光地の為、お客さんがいない状態になってしまった)。2020年の立ち上げ期はお互いに辛い時期でしたし、実績も経験も無い私に対して、渉外の方も率直な思いを吐露してくださったりもしました。
一度は頓挫しかかったのですが、ダメ押しで探したところこちらのカラムさん(写真)が製作することになり、そのタイミングで友人がパレスチナに移住したことも重なって、ようやく実質的な生産に漕ぎ着けました。
パレスチナの職人 カラムさんとの出会い
多くの方々がお箸の制作に関わっています。
―オリーブの木の農家さん(パレスチナの農村より)
―通訳や手配をするHLHCS(地域共助のフェアトレード団体)のスタッフ
―カラムさん筆頭に4~5人の職人さん達
―レーザー彫りをする方
―お箸を届けてくれ、直接現地で様子を見てくれた日本人の友人知人
ーお箸の木型を作ってくださった(株)かわな工業さま
カラムさん、及び彼のもとで働く方たちは、お箸を使ったことが無いにも拘らず、お伝えしたフォルムを再現し、あたたかみのあるお箸を生み出してくださいました。
カラムさんとは、地域共助のフェアトレード団体HLHCSを通じて出会いました。HLHCSとは、パレスチナのローカル雑誌の編集長さんを介して繋がり、お箸製作の話を依頼しました。そこから数人の職人さんにトライしていただいたのですがうまくいかず、コロナ禍のロックダウン等もあって作業も遅延に遅延を重ね、ようやくたどり着いたのがカラムさんでした。
―カラムさん
「私達は工房で働いています。環境はあまり健康的ではないのですが、HLHCS(地域共助のフェアトレード団体)が労働条件を改善するために取り組んでくれています。兄弟でマザーオブパールの加工工房もやっていたのですが、そちらはすでに改修済みです。今は彼に任せ、私はオリーブウッド専用の工房で仕事をしています。」
オリーブの木からお箸ができるまで
完全に乾燥させたオリーブウッドをカットし、角材にします。それをやすりを用い、マシンと手とで交互に箸の形に近づけていきます。非常に加工が難しい木なので折れない程度に慎重に先端を細くし、全体が整ったら、デザインを入れるためにレーザー彫りに回します。
最後にミネラルオイルかベジタブルオイルを塗って乾燥を防いだら完成です(いつも同じものが手に入るとは限らないため)。
カラムさんに、箸をつくっているときに考えていることを聞きました。
―カラムさん
「特にお箸に関しては、最善を尽くして一番良いものを創ろうと考えながら制作しています。皆さんが私の作ったお箸をスプーンやフォークのように使いごはんを食べているのを何度も想像しては、嬉しく思います」
ものづくりは「人生」そのもの
カラムさんに、ものづくりに対する想いを聞いてみました。
―カラムさん
「ものづくりは私の人生であり、私の父親がそうしてくれたように、私も子どもたちへ受け継いでいっています。ものづくりは私達の文化であり、伝統なのですから。
私がお箸を作り続けているのは、真新しいからです。私たちに馴染みのないものでも作れる、私達は何でもできる、可能性があるのだと、世界に示さないといけないと使命感を持っています。」
周りを思いやることのできる社会をつくりたい
架け箸は、ものづくりと販売を通して、周りを思いやることのできる社会になっていけばいいと願っています。
ひとりひとりは素敵なのに、人類は集団になったり、権力を握ったりすると、思いやりにかけ、残酷なことを平気でしてしまう生き物だと思います。そのしわ寄せは、地球環境、他の生物、そして身内であるはずの人間にまで及び、表面上平和そうに見えても、私達は矛盾と搾取に溢れる世界に生きているのが現状です。
そのしわ寄せに日々接しているパレスチナの人達と共にものづくりをすること、一緒にお仕事をさせていただくことは、優しい世界を作りたいという、架け箸の意思表示です。
カラムさんの理想の未来も聞いてみました。
―カラムさん
「シンプルですが、私達の工芸が支えられ、その重要性が感じられる未来になってほしい、その一心です。」
愛情、そして世代を越えて受け継ぐべき手仕事を伝えたい
お箸を買う人、使う人に伝えたい想いをカラムさんに聞きました。
―カラムさん
「私の作るお箸を手に取ることで、パレスチナのキリスト教徒について、そして私達の国の伝統と工芸について知って欲しいと思っています。
使うときには、愛情をこめて作られたこと、世代から世代へ受け継いでいくべき手仕事であるということ、また、聖地のオリーブの木から作られているのだということを感じて欲しいです。」
(おまけ)架け箸代表の幸せ時間
慌ただしい普段よりスローダウンしたひととき。
ギターを弾いたり散歩したり語学を勉強したりするのが好きですが、最近はあまり休日がありません。休まないと、と思いつつ、終わりのない仕事と格闘しています。
あとは、冬のつんとした空気を吸い込むと幸せな気持ちになりますね。
健康第一を思い知って、ジョギングするようになったので、以前より外の空気を吸って体調良く過ごせている気がします。