引っ越し挨拶！粗品・品物・手土産とタイミング

引っ越しは新しい生活の始まりであり、期待に胸を膨らませる一方で、近隣住民との関係構築に少し不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に「引っ越し挨拶」は、第一印象を左右する大切なステップです。

「どんな粗品・品物・手土産を選べばいいの？」「挨拶のタイミングはいつが適切？」「挨拶の範囲や言葉遣いはどうすれば？」など、疑問は尽きません。

この記事では、そんなあなたの不安を解消し、スムーズな引っ越し挨拶をサポートします。粗品選びのポイントから挨拶のマナー、不在時の対応まで、網羅的に解説しますので、ぜひ参考にしてください。

引っ越し挨拶の粗品・品物選び

引っ越し挨拶で何を渡すかは、多くの方が悩むポイントです。相手に喜ばれ、かつ失礼のない粗品・品物・手土産を選ぶことが大切です。

品物の相場と選び方のポイント

引っ越し挨拶の品物の相場は、一般的に500円～2,000円程度とされています。あまり高価なものだと相手に気を遣わせてしまうため、この範囲内で選ぶのが無難です。

選ぶ際のポイントは以下の通りです。

相手に気を遣わせない程度の価格帯であること
高価すぎるものは避けましょう。
日持ちがするもの
生ものや賞味期限が極端に短いものは避けるのがマナーです。
好き嫌いが分かれにくいもの
個性の強い香りや味のものは避け、万人受けするものを選びましょう。
実用的なもの
日常生活で使えるものは喜ばれやすいです。
かさばらないもの
相手が受け取りやすく、持ち運びやすいサイズのものを選びましょう。

避けるべきNGな品物リスト

良かれと思って選んだ品物が、かえって相手に不快な思いをさせてしまうこともあります。以下のような品物は避けるのが賢明です。

高価すぎるもの
相手に過度な気を遣わせてしまい、今後の関係に影響が出る可能性があります。
香りの強いもの
石鹸、柔軟剤、芳香剤などは、香りの好みが分かれるため避けた方が無難です。
手作りのもの
衛生面を気にする方もいるため、市販品を選ぶのが一般的です。
縁起の悪いもの
ハンカチ（手巾＝てぎれ、別れを連想させる）、刃物（縁を切る）、櫛（苦・死を連想させる）などは避けましょう。
賞味期限の短い生もの
相手がすぐに消費できるとは限らないため、日持ちのする焼き菓子などが適しています。
現金・商品券（高額なもの）
お祝い事ではないため、現金や高額な商品券は不適切です。

「のし」の正しい書き方と種類

「のし」とは、贈り物に添える飾りで、改まった気持ちを表すものです。引っ越し挨拶の品物には、のしをかけるのが一般的です。

水引の種類
紅白の蝶結び（花結び）を選びます。蝶結びは「何度あっても良いお祝い事」に使われます。
表書き
水引の上の部分には、「御挨拶」または「ご挨拶」と書くのが一般的です。よりカジュアルな場合は「粗品」でも構いません。
名入れ
水引の下の部分には、自分の名字をフルネームまたは姓のみで書きます。
のしの掛け方
品物にのし紙をかけてから包装する「内のし」と、包装紙の上からのし紙をかける「外のし」があります。引っ越し挨拶では、誰からの贈り物かすぐに分かるように「外のし」にするのが一般的です。

挨拶の時期・タイミングと時間帯

引っ越し挨拶は、いつ、どのタイミングで行うのが適切なのでしょうか。相手に失礼なく、スムーズに挨拶を済ませるためのポイントを押さえておきましょう。

新居の挨拶いつがベスト？

新居での挨拶は、引っ越しの前日または当日、遅くとも翌日までに行うのが理想的です。
その理由は以下の通りです。

早く顔と名前を覚えてもらうため
これからお世話になるご近所の方に、いち早く自分の存在を知らせることで、安心感を与えられます。
引っ越し作業による騒音や迷惑へのお詫びと挨拶を兼ねて
引っ越し当日は、荷物の搬入などで騒がしくなったり、業者や車の出入りで迷惑をかけたりする可能性があります。事前に挨拶を済ませておくことで、理解を得やすくなります。

もし前日や当日の挨拶が難しい場合は、引っ越し後1週間以内を目安に、できるだけ早く伺うようにしましょう。

旧居の挨拶いつまでに？

旧居での挨拶は、引っ越しの1週間前から前日までに行うのが一般的です。
あまり早すぎても実感が湧きにくく、直前すぎると荷造りなどで忙しくなってしまうため、余裕を持って挨拶に伺いましょう。
お世話になった感謝の気持ちを伝え、立つ鳥跡を濁さず、という心遣いが大切です。

挨拶に適した時間帯と避けるべき時間

挨拶に伺う時間帯も重要です。相手の迷惑にならないよう配慮しましょう。

適切な時間帯
- 土日祝日: 午前10時～午後5時頃
- 平日: 午後3時～午後5時頃（夕食の準備が始まる前）
避けるべき時間帯
- 早朝（午前9時以前など）: まだ寝ている可能性や、朝の準備で忙しい時間帯です。
- 食事時（お昼の12時～午後1時頃、夕食時の午後6時以降など）: 家族団らんの時間や食事の準備・片付けで忙しい時間帯です。
- 深夜（午後9時以降など）: くつろいでいる時間や就寝している時間帯です。

「引越し挨拶何時」と迷ったら、相手の生活リズムを考慮し、常識的な範囲で訪問しましょう。

引っ越し当日でも大丈夫？

引っ越し当日に挨拶をすることも可能です。特に遠方からの引っ越しで前日入りが難しい場合などは、当日になることもあるでしょう。
ただし、当日は引っ越し作業でバタバタしているため、作業が一段落した夕方などに伺うのがおすすめです。
その際は、「本日はお騒がせして申し訳ありません」と一言添えると良いでしょう。

挨拶する範囲と相手別のポイント

「どこまで挨拶に行けばいいの？」というのも悩ましい問題です。建物の種類や状況によって適切な範囲が異なります。

一戸建ての挨拶範囲「どこまで」

一戸建ての場合、昔から「向こう三軒両隣（むこうさんげんりょうどなり）」と言われる範囲に挨拶するのが一般的です。

自分の家の両隣の家（2軒）
自分の家の向かい側の家とその両隣の家（3軒）

また、地域によっては、自宅の裏手にある家や、自治会長・町内会長のお宅にも挨拶をしておくと、今後の地域活動などでスムーズなコミュニケーションが期待できます。「引っ越し近所挨拶」の範囲として、この基本を押さえておきましょう。

マンション・アパートの挨拶範囲

マンションやアパートなどの集合住宅では、生活音が響きやすいため、特に上下左右の部屋への挨拶が重要です。

自分の部屋の両隣の部屋
自分の部屋の真上と真下の部屋

基本的にはこの4軒に挨拶をすれば十分とされていますが、建物の構造や家族構成（小さな子供がいるなど）によっては、斜め上・斜め下の部屋にも挨拶をしておくと、より丁寧な印象になります。
「引っ越し挨拶どこまで」と迷ったら、まずはこの範囲を基本と考えましょう。

大家さん・管理人への挨拶マナー

賃貸物件の場合、大家さんや管理人さんへの挨拶は必須です。
これからお世話になる方々なので、最初にきちんと挨拶をしておくことで、良好な関係を築きやすくなります。
物件のルールやゴミ出しの場所など、生活に関わる情報を教えてもらえることもあります。
挨拶のタイミングは、新居の近隣住民への挨拶と同じく、引っ越しの前日～翌日が良いでしょう。品物も用意していくのがマナーです。

隣の家・上下階への挨拶

特にマンションやアパートでは、隣の家や上下階の部屋への挨拶は丁寧に行いましょう。
生活音が伝わりやすく、騒音トラブルに発展する可能性もゼロではありません。
「子供が小さいため、ご迷惑をおかけするかもしれませんが」など、一言添えておくだけでも相手の心証は大きく変わります。

挨拶の言葉・例文と手紙の書き方

実際に挨拶に行く際、「なんて言えばいいんだろう？」と緊張してしまうかもしれません。ここでは、基本的な挨拶の言葉や、状況別の例文、手紙の書き方をご紹介します。

基本の挨拶「なんて言う？」セリフ集

まずは、基本的な挨拶の流れとセリフを押さえておきましょう。

インターホンで名乗る
「〇〇号室（隣など、場所を伝える）に越してまいりました（自分の名前）と申します。ご挨拶に伺いました。」
ドアが開いたら改めて挨拶
「こんにちは。本日（先日）、〇〇号室に越してまいりました（自分の名前）と申します。」
自己紹介と挨拶の言葉
「これからお世話になります。どうぞよろしくお願いいたします。」
粗品を渡す
「ささやかですが、どうぞお使いください。」（「つまらないものですが」という表現も使われますが、最近は「心ばかりの品ですが」「よろしければお使いください」といった表現も好まれます）
締めの言葉
「ご迷惑をおかけすることもあるかと存じますが、どうぞよろしくお願いいたします。」
「何かと至らない点もあるかと存じますが、どうぞよろしくお願いいたします。」
長居はしない
相手の時間を長く取らないよう、挨拶は手短に済ませるのがマナーです。2～3分程度を目安にしましょう。

【新居】状況別挨拶の例文

状況に合わせて、少し言葉を付け加えると、より気持ちが伝わります。

一人暮らしの場合
「〇〇号室に越してまいりました（自分の名前）と申します。一人暮らしは初めてで（または、この辺りは不慣れで）、何かとご迷惑をおかけするかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします。こちら、心ばかりの品ですが、お納めください。」
夫婦・カップルの場合
「〇〇号室に越してまいりました（自分の名前）と申します。夫婦（二人）で暮らしております。これからお世話になります。どうぞよろしくお願いいたします。こちら、よろしければお使いください。」
家族連れ（子供がいる）の場合
「〇〇号室に越してまいりました（自分の名前）と申します。家族は夫（妻）と子供が〇人おります。子供がまだ小さく（やんちゃで）、何かとご迷惑をおかけすることもあるかと存じますが、どうぞよろしくお願いいたします。こちら、ささやかですが、どうぞ。」

【旧居】状況別挨拶の例文

旧居でお世話になった方への挨拶は、感謝の気持ちを伝えることが大切です。

一般的な場合
「〇〇号室の（自分の名前）です。この度、〇月〇日に引っ越すことになりました。これまで大変お世話になり、ありがとうございました。こちらはほんの気持ちですが、どうぞ。お元気でいらしてください。」
特にお世話になった方へ
「〇〇号室の（自分の名前）です。急なご報告で申し訳ありませんが、〇月〇日に引っ越すことになりました。〇〇さんには、以前〇〇の件で大変お世話になり、本当に感謝しております。ありがとうございました。こちらは心ばかりの品ですが、お受け取りください。新しい場所でも頑張ります。どうぞお元気で。」

手紙・メッセージカードの文例

相手が不在だった場合や、直接会うのが難しい場合には、手紙やメッセージカードを添えて品物を渡すこともあります。

新居での不在時用メッセージカード例文
「先日ご挨拶に伺いましたがご不在でしたので、お手紙にて失礼いたします。
〇月〇日に〇〇号室に越してまいりました（自分の名前）と申します。
これからお世話になります。どうぞよろしくお願いいたします。
ささやかですが、どうぞお使いください。
（自分の名前）
（連絡先を書いても良い場合は電話番号など）」
旧居での挨拶用メッセージカード例文
「〇〇様
〇〇号室の（自分の名前）です。
この度、〇月〇日に引っ越すことになりました。
これまで大変お世話になり、心より感謝申し上げます。
本来であれば直接ご挨拶に伺うべきところ、お手紙にて失礼いたします。
こちらはほんの気持ちです。どうぞお受け取りください。
皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
（自分の名前）」

「引っ越し挨拶手紙」や「引っ越し挨拶文」を作成する際は、丁寧な言葉遣いを心がけましょう。

挨拶状・挨拶文作成のコツ

手書きが丁寧な印象
可能であれば手書きの方が温かみが伝わりますが、印刷でも問題ありません。
簡潔に分かりやすく
長文にならないよう、要点をまとめて伝えましょう。
誤字脱字に注意
最後に必ず見直しをしましょう。
誰からのものか明確に
自分の名前と、どの部屋の者かを明記します。

不在の場合の対応マナー

挨拶に伺っても、相手が不在であることはよくあります。そんな時の対応方法とマナーについて解説します。

相手が不在だった時の対処法

一度で会えなくても、すぐに諦める必要はありません。

日を改めて訪問する
まずは、曜日や時間帯を変えて、2～3回程度訪問してみましょう。
手紙と品物を残す
何度か訪問しても会えない場合は、手紙（メッセージカード）を添えて品物をドアノブにかけるか、郵便受けに入れます。

「引っ越し挨拶不在ドアノブ」にかける際は、いくつかの注意点があります。

ドアノブに品物をかける時の注意

品物が汚れたり落ちたりしないように袋に入れる
雨風で濡れたり、地面に落ちてしまったりしないよう、ビニール袋や紙袋に入れましょう。
必ずメッセージカードを添える
誰からの何の品物なのかが分かるように、必ずメッセージカードを添えます。名前と部屋番号、簡単な挨拶文を書きましょう。
高価なものは避ける
万が一盗難にあったり、破損したりする可能性も考慮し、高価な品物は避けましょう。
長時間放置されないように配慮する
相手が帰宅しそうな時間帯を見計らって置くか、郵便受けに入るサイズのものであれば郵便受けを利用するのも一つの方法です。ただし、郵便受けに無理やり押し込むのは避けましょう。
食べ物は避けるのが無難
特に夏場など、気温が高い時期は食品が傷む可能性があるため、ドアノブにかける品物としては避けた方が良いでしょう。

不在時用メッセージカード例文

前述の「手紙・メッセージカードの文例」で紹介した新居用の例文を参考にしてください。ポイントは以下の通りです。

誰からのものか（名前と部屋番号）
挨拶に伺ったが不在だったこと
引っ越してきた旨と今後の挨拶
品物を置いていくこと

再訪問の目安と回数

一般的に、再訪問の目安は2～3回程度と言われています。
毎回同じ時間帯ではなく、平日と週末、午前と午後など、タイミングを変えて訪問してみましょう。
それでも会えない場合は、無理に何度も訪問するよりも、メッセージカードを添えて品物を残す方が、相手にとっても負担が少ない場合があります。

引っ越し挨拶の基本と注意点

最後に、引っ越し挨拶に関する基本的な考え方や、その他知っておきたい注意点についてまとめます。

引っ越し挨拶の必要性とメリット

「引っ越し挨拶は本当に必要なの？」と疑問に思う方もいるかもしれません。
結論から言うと、引っ越し挨拶はした方が良いと言えます。その理由は、以下のようなメリットがあるからです。

良好なご近所付き合いの第一歩となる
最初に顔を合わせて挨拶をすることで、お互いに安心感が生まれます。
顔見知りになることで防犯面でも安心
どんな人が住んでいるかを知っておくことは、地域の安全にも繋がります。
困ったときに助け合える関係を築ける可能性がある
災害時や緊急時など、いざという時に頼りになる存在になるかもしれません。
騒音など生活上のトラブルを未然に防いだり、円滑に解決したりしやすくなる
事前に「子供が小さいのでご迷惑をおかけするかもしれません」と伝えておくだけで、相手の受け止め方が変わることがあります。
地域の情報を得やすくなる
ゴミ出しのルールや近隣のお店情報など、生活に役立つ情報を教えてもらえることもあります。

挨拶しなかった場合のリスク

逆に、引っ越し挨拶をしなかった場合、以下のようなリスクが考えられます。

「どんな人が引っ越してきたのだろう」と近隣住民に不安や不信感を与えてしまう可能性がある。
騒音やゴミ出しなどで意図せず迷惑をかけてしまった場合、直接注意されにくく、陰で不満が溜まってしまう可能性がある。
いざという時に助けを求めにくかったり、地域に馴染みにくかったりする。
無愛想な人だという印象を持たれてしまう可能性がある。

もちろん、挨拶をしなくても問題なく生活できる場合もありますが、より円滑で安心な新生活を送るためには、挨拶をしておく方がメリットが大きいと言えるでしょう。

挨拶時の服装マナー

挨拶時の服装に厳格なルールはありませんが、清潔感のある、きちんとした服装を心がけましょう。
派手な服装や露出の多い服装、ジャージやスウェットのようなラフすぎる格好は避けるのが無難です。
普段着で問題ありませんが、相手に失礼のない、TPOをわきまえた服装を選びましょう。

子供連れの場合のポイント

子供がいる場合は、できるだけ子供も一緒に挨拶に伺うのが良いでしょう。
事前に子供に「これからお世話になるご近所の方にご挨拶に行くよ」と伝え、挨拶の練習をしておくとスムーズです。
挨拶の際には、「子供がまだ小さく、騒がしくしてしまうこともあるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします」と一言添えると、相手の理解を得やすくなります。
もし子供がぐずってしまったり、人見知りしてしまったりした場合は、無理強いせず、親が代表して手短に挨拶を済ませましょう。

まとめ

引っ越し挨拶は、新しい環境での生活をスムーズにスタートさせるための大切なコミュニケーションです。粗品・品物・手土産選びから、挨拶のタイミング、範囲、言葉遣い、そして不在時の対応まで、この記事でご紹介したポイントを押さえておけば、きっと自信を持って挨拶に臨めるはずです。

「引っ越し挨拶」を通じて、ご近所の方々と良好な関係を築き、快適で安心な新生活を送りましょう。この記事が、あなたの新しい門出の一助となれば幸いです。

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