これは、単なる器ではない。世界遺産の森が育んだ、生命の記憶そのもの。霧深い森、苔むした岩、天を突くようにそびえ立つ、樹齢千年の巨木。ここは、時が止まったかのような神秘の島、屋久島。この椀は、その悠久の自然が生み出した、稀代の銘木「屋久杉」から、一つひとつ丁寧に削り出して作られています。一口、また一口と、食事を運ぶたびに、あなたの手の中に、屋久島の壮大な物語が広がります。

[木目の美しい屋久杉椀が、静かな食卓に置かれている写真]

現在、神木として崇められる屋久杉の伐採は、固く禁じられています。では、なぜ今、この器を手にすることができるのか。その答えは、数百年の時を超えた奇跡の素材「土埋木（どまいぼく）」にあります。これは、江戸時代の職人たちが、年貢として納めるために伐採した屋久杉の切り株。森の豊かな土壌に埋もれ、腐敗することなく、樹脂をたっぷりと含んだまま眠り続けていた、まさに「森の宝」です。その稀少な木を、現代の職人が再び見出し、新たな命を吹き込みました。

数百年眠っていた木は、急激な乾燥を嫌います。数ヶ月、時には数年という歳月をかけてゆっくりと乾燥させ、歪みと対話しながら、熟練の職人がその手で削り出していきます。年輪が密に詰まっているため、驚くほど軽く、そして滑らかな手触り。複雑で美しい木目は、二つとして同じものが存在しない、自然が生んだアートです。仕上げの塗装は、木の呼吸を妨げないよう、そして屋久杉ならではの芳醇な香りを損なわないよう、細心の注意を払って施されています。

手に取れば、まずその軽さに驚くでしょう。唇に触れるなめらかな感触、そして、ほのかに立ち上る屋久杉の清々しい香り。いつもの食事が、五感で自然を味わう、静かで贅沢なひとときへと変わります。使い込むほどに、色は深みを増し、艶やかな光沢が生まれます。それは、あなたがこの器と共に過ごした時間の証。あなただけの「一生もの」の器へと育っていくのです。

私たちは、この器に込められた、屋久島の自然への畏敬の念と、日本の伝統技術を守り続ける職人の情熱に、深く心を動かされました。この千年の物語を、ただの消費で終わらせない。その価値を理解してくださる方へ、敬意を込めてお届けしたい。そんな想いで、この「屋久杉 椀」をセレクトしました。こんなひととき、こんな方へ日々の喧騒を忘れ、食事と静かに向き合う時間を持ちたいあなたへ。日本の真の伝統工芸品を求める、審美眼のある方へ。人生の節目を迎える大切な方へ、永く使える特別な贈り物を。日本でしか出会えない、本物の価値と物語を求める旅人へ。

▼商品情報

素材: 屋久杉（土埋木）

塗装: （例：無色のウレタン塗装 / 漆塗りなど）

原産地: 鹿児島県 屋久島

サイズ: （例：直径 約12cm × 高さ 約7cm）

▼ご使用上の注意

電子レンジ、食器洗い乾燥機のご使用はお避けください。

ご使用後は、柔らかいスポンジで優しく洗い、乾いた布で水気を拭き取ってください。

長時間水に浸しておくことはお避けください。